雑木林・里山の意義
    
 都市部のクヌギ、コナラ、エゴノキ、クリ、ケヤキ、ミズキ、ヤマモミジ、ヤマザクラ、イヌシデ
などの雑木林には、春は芽吹きから新緑へ、夏は青葉が繁り、カブトムシ、クワガタが樹液を
吸いチョウが舞い、秋には紅葉して落葉となって散り、冬は裸木となって眠りにつく、自然な
心安らぐ営みがあります。
   
 また、その周りの里山は、水田と畑があって、小川が流れ、人家があってその背後に落葉
広葉樹や松林が続き、所々に杉や檜、竹林もあるみごとな自然と人間生活の調和のとれた
美しい風景です。春にはいっせいに水田に水が張られて田植えが行われ、夏には緑が濃くなっ
てカエル、トンボ、ホタルなど様々な生き物たちがいきづきます。
秋には豊かな稔りのときを迎え、冬は水がひかれて、森では落葉を集めて堆肥をつくり、薪を
切って炭焼きが行われました。
   
 これがかつての日本の何処にでもみられた、雑木林や里山と人々の生活の深いつながりで
した。それが経済成長と消費生活の変化にともなって、以前のままに活用され、保全される
ことはきわめて困難になってきました。雑木林を手入れをしないままにしておくと、やがて下草
笹が勢いを増し、他の下草は消滅してしまいます。
  
そこにカミキリムシ、タマムシなどの害虫が発生して樹木に害を与えます。クズ、スイカズラ
野イバラなどの蔓が所かまわず繁茂して木にからみついて、枯らし荒れてしまいます。
さらに心ない人がゴミを捨て、次第にテレビ、冷蔵庫などの粗大ゴミまで山をなすゴミ捨て場と
なってしまうのです。雑木林は常に人の手が加えられないと、美しい緑を保つことはでません。
   
生産性のほとんどなくなってきた森や林は、それを本来の姿で保全するには、所有者だけの
力ではどうにもならないのが現実です。おそらく、何もしないで放りっぱなしにおけば、北本の緑
も公園、屋敷林、鎮守の森ぐらいしか残らなくなってしまうのではないでしょうか。
   
 雑木林の保存と再生運動は、もはや単なる呼びかけやスローガンではだめで、そこの動植物
の種類や数、生態系の調査のうえにたち、市町村が所有者から買い取るか、現在各地で進めら
れているナショナルトラストのような直接的な保護・保全しかなくなっています。
   
 21世紀のキーワードは、少子高齢化・成長の鈍化・成熟化、経済のグローバル化、地球環境
の悪化といわれています。特に、緑の森や林は地球温暖化の原因である二酸化炭素(CO2)を
吸収する大切な役目を果たてくれています。
そして、何よりも真の豊かさは、自然との共生にこそあるのではないでしょうか。(粒針)
     
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